5章 調性と旋法性
調性......1つの中心音があり、それが他の全ての音によって何らかの形で支えられているという関係。
旋法性......ある主音との関係で特定の音を選択すること。音階が見せる性質や表情。
音階音度の調的機能
調的機能......音階の各音度が持つ、調の中での役割。
音度の分類
調的音度.........主音を示し、曲の中で支える役割を持つ音度。
主音Ⅰ、属音Ⅴ、下属音Ⅳ
旋法的音度......調性に対して影響力を持たず、長短のような音階の性質を決める音度。
中音Ⅲ、下中音Ⅵ
その他の音度
上主音Ⅱは「属音の属音」として機能し、属音と下属音の両方の性格を持つが、調的な力は弱い。
導音Ⅶは主音を指示する役割を持つが、和声を発生させる機能を持たない。和声的には属音Vの補助の立場にある。
調性の構造
音楽の調性は調的音度を根音とする和声からなり、旋法的音度は変化を付けるために使われる。
旋法的音度を強調しすぎると調性が安定せず、意図したものとは別の効果を与えかねない。
ドミナント和声
調性を決定する力が最も強力な和声的要素は、ドミナント機能である。
Ⅴ-Ⅰの進行はフレーズの最後に多く見られ、これは正格終止と呼ばれる。
ドミナント機能は導音の存在によって支えられる。
和音のまとまり
2つの和音の連なりは調性を強く示し、調の確立で重要なのは主和音よりも属和音の存在である。
定型......Ⅳ-Ⅴ-Ⅰなど、調を指示する2~3個の和音のグループ。いわば、音楽の「単語」
旋法の互換性
和音進行が持つ旋法指示力はその調性指示力ほど強くなく、クラシックでは長短旋法の揺らぎはしばしば見られる。
ピカルディ3度......間違いなく短旋法で書かれた作品を長旋法の主和音で終わらせる手法。
(2次ドミナントは後に詳しい解説があるし、この時点ではポピュラー和声のそれと大差ないので割愛)
半音階法と調性
半音階法......長短音階にない音を使用すること。
ある音階にない音が使われても、それが必ずしも調性に影響を与えるというわけではない。
和音構成音の分散
分散......旋律が和音構成音のみを使って進行すること。和声をリズム的に修飾する。